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【コラム4-12】すべての中核となるプロジェクト統合マネジメント

本コラムは転換期を迎える現代のビジネスパーソンのために「考える」をテーマにしたトピックを毎月お届けしています。
今回のシリーズでは、プロジェクトマネジメントの手法を用いて業務実行の管理に焦点を当て、前回はリスクマネジメントについて特に実行プロセスについて具体的にご紹介しました。

前回の記事はこちら

【コラム4-11】現場で使えるリスクマネジメント

今回のシリーズ最終回はプロジェクトの統合マネジメントについて。これまでの内容を振り返りながら、プロジェクトすべての要素を管理する流れと実行段階について解説していきます。

プロジェクトの始まり

プロジェクトの立ち上げ時に目的やスコープ、ステークホルダーといった内容をプロジェクト憲章としてまとめます。

大きなプロジェクトであればあるほど重要になるのがプロジェクト憲章。これによって関係者間での認識ずれや重要なポイントが曖昧になるのを防ぎます。

プロジェクト憲章の根幹は「なぜプロジェクトを行うのか(目的)」「何をプロジェクトで行うのか(スコープ)」「誰がプロジェクトを行うのか(メンバーや主要なステークホルダー)」の3点です。

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その他はプロジェクト内容によって項目は変わるもののスケジュールやコスト、リスクは細かく記載されるのが一般的です。各項目のさらに細かい計画はそれぞれのマネジメントによって行われます。

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【コラム4-11】現場で使えるリスクマネジメント

プロジェクト統合マネジメントの実行プロセス

プロジェクト統合マネジメントは、プロジェクトの全体像を把握し、異なるマネジメント活動を調整・統合するための重要なプロセスです。この段階では、以下の主要な活動が行われます。

プロジェクト計画の統合

プロジェクト計画は複数のマネジメント計画(スコープ、スケジュール、コスト、品質、リスクなど)から成り立っています。プロジェクト統合マネジメントでは、これらの計画を調整し、相互の一貫性を確保します。例えば、スケジュールとリソースの調整や、予算と品質目標の調整が含まれます。
プロジェクト実行の方向付け
プロジェクトマネジャーは、プロジェクトの進行状況を監視し、適切な指示を与える役割を果たします。このプロセスでは、進捗状況の報告や問題解決のための調整が行われます。また、ステークホルダーとのコミュニケーションも重要です。

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【コラム4-8】社内外の関係者とのエンゲージメントを最適化するステークホルダーマネジメント

変更管理

プロジェクトは変化する状況・条件に常にさらされています。プロジェクト統合マネジメントでは、変更の要求を受け入れ、適切に対応するプロセスがあります。これには、変更の評価、承認、実装、および影響の評価が含まれます。

例えば顧客から新たな要件が追加された場合、プロジェクトマネージャーはこの変更の影響を評価し、スコープ、スケジュール、および予算に対する影響を分析します。その後、変更リクエストを承認し、開発チームに新しい要件を実装するよう指示します。

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場合によっては社内外から必要なリソースを獲得する指示を出すこともあるでしょう。

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なお、プロジェクト憲章では関係者が変更管理システムについて合意できるように変更の報告やレビューのプロセスを定義する必要があります。このシステムはプロジェクトがよりスムーズに進行し、いかなる変更も統合された管理アプローチの一部であることを保証します。

こうした取り決めが明確に定義されていることで、予期せぬ変更が発生しても迅速かつ効率的に対応することが可能になります。

成果物の統合と検証

プロジェクトの成果物は、各マネジメント計画に基づいて作成されます。これらの成果物は統合され、プロジェクト目標や要件を満たしていることが確認されます。品質管理プロセスを通じて、成果物が品質基準に適合しているかどうかも確認されます。

プロジェクトの終結

プロジェクトの最終段階では、成果物の納品とプロジェクトの終結が行われます。この段階では、契約書の遵守やステークホルダーへの報告が含まれ、プロジェクトの成功基準が満たされたかどうかが評価されます。

成果物以外のアウトプットでは最終報告書、プロジェクト文章の更新版、組織のプロセス資産更新版をまとめ次のプロジェクトへの教訓などを共有しましょう。

統合マネジメントは相互の連携を担う

プロジェクト統合マネジメントの実行プロセスは、プロジェクトの成功を確保するために不可欠です。各プロセスは相互に依存し、調和して動作することで、プロジェクトの目標達成と品質の確保が実現されます。

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今回でシリーズ終了となります。新規シリーズ開始までしばらくお時間いただく予定です。