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【コラム4-9】多様な視点で成功を導く調達マネジメントの実行プロセス

本コラムは、転換期を迎える現代のビジネスパーソンを対象に、「考える」をテーマにしたトピックを月ごとに提供しています。

今回のシリーズでは、プロジェクトマネジメントの手法を用いて業務実行の管理に焦点を当て、前回はステークホルダーマネジメントについて、特に実行段階における手法を紹介しました。

前回の記事はこちら

【コラム4-8】社内外の関係者とのエンゲージメントを最適化するステークホルダーマネジメント

今回は調達マネジメントについて。実行段階の取り組みを中心にご紹介します。

調達の計画から実行まで

調達のマネジメントでは組織外から取得するリソースの引合から契約終了までをカバーします。調達のスケジュールはプロジェクト全体のスケジュールに影響を与えることを鑑みながら計画を行う必要があります。

参考

【コラム4-2】業務実行管理のためのスケジュールマネジメント

また納入業者の選定基準は多面的かつ定量的に作成します。技術力や生産能力・マネジメント力・資金や保証・過去の実績などが考えるべき項目として挙げられます。

その他さまざまな制約や前提条件を計画段階で明らかにしておくことで、調達マネジメントの実行をスムーズに行うことができます。

入札による調達の実行プロセス

調達したいリソースに入札やプロポーザルが必要な場合、主に以下のプロセスで調達を実行します。なお計画の時点であらかじめ調達の予算取りが行われますが、実行プロセスにおいて予算の修正が行われます。

ベンダー説明会

すべての納入候補を対象に、入札やプロポーザル提出に先立って要件を説明します。お互いの認識ズレをできる限り少なくするために行われ、すべての納入候補者が公平公平になるように配慮する必要があります。

独自見積り

納入候補からの提案に対するベンチマークとして使うために、調達担当や外部委託によって作成します。納入候補によるコスト見積りと大きな差がある場合は、説明した情報に不備があったり納入候補が誤解している可能性が考えられます。

納入業者の選定

集まった提示価格や提案内容をあらかじめ定めておいた基準と照らし合わせて検討し、発注先を決定します。この時、法務・契約・財務・会計・エンジニアリング・設計などの専門能力をもつ多分野の専門家からも意見を聞いて提案内容の妥当性を判断します。

契約前の交渉

正式な契約の前に、諸条件について最終合意をとるための交渉を行います。基本的には説明会で行った要件通りですが、お互いが満足しつつ最善の調達ができるよう戦略的に臨みましょう。

契約と締結後のマネジメント計画

契約を締結する際には、作業の進捗を確認する方法や成果物の評価方法など契約の管理方法についてまとめた契約書を作成する必要があります。

契約後はこの計画書に沿って調達のコントロールへと移行し、成果物が要求通り調達できたら契約を終了・支払いするプロセスへと進みます。

人的資源の調達で注意するポイント

組織内の人員で足りない場合は、人的資源もまた調達を行う必要があります。

業務委託や派遣契約など求める成果の内容によって契約方法を検討し、「みなし請負」といった法に反することのないよう契約内容と実態を照らし合わせて適切に管理を行いましょう。

持続可能な調達とは

1997年、ナイキが製造を委託していた東南アジアの工場で劣悪な環境下での児童労働が明るみになり、世界的な不買運動へと繋がりました。過度なコストカットによる同様の問題は世界で多くあり、問題になったことから現代では調達をはじめとするサプライチェーン全体への社会的責任を果たす重要性が高まっています。

ブリヂストンは自社が調達していた天然ゴムが熱帯雨林破壊や人権侵害のリスクが指摘されていたことから科学的な調査や情報開示を実施し、持続可能な天然ゴム調達のためのプラットフォーム構築に尽力しました。

サプライチェーン全体にまで拡大してCSRを求めて調達先の選定や調達条件の設定を行い、体制を構築することはCSR調達と呼ばれています。CSR調達を通じて企業は自社のサプライチェーンに潜むリスクを把握でき、またサステナブルな活動によって企業価値を高めることが期待できます。

視野を広く持つ調達のマネジメント

調達マネジメントの実行プロセスでは、価格だけでなくさまざまな側面を考慮してサプライヤーを選定する必要がありました。選定後はしっかりと交渉や契約をしつつコントロールを行います。

また、企業が社会貢献を果たし持続的な成長を実現するためにCSR調達に取り組む企業も増えています。調達マネジメントの担当者はより多面的に考える必要があると言えるでしょう。

次回はリスクマネジメントについて。「そもそもリスクとはなんなのか?」というところから、リスクをマネジメントする実行段階のポイントについてご紹介してきます。

1件のコメント

  1. ピンバック:【コラム4-10】業務遂行における転ばぬ先の杖 – シンキングパートナーズ合同会社

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