本コラムは転換期を迎える現代のビジネスパーソンのために「考える」をテーマにしたトピックを毎月お届けしています。
今シリーズではプロジェクトマネジメントの手法を用いて業務実行の管理を行うノウハウや手法をご紹介しています。
前回はコストマネジメントについて、業務実行におけるポイントについて述べました。
今回は品質マネジメントについて。特に実行段階における手法などについてご紹介していきます。
納期、コストに続いてプロジェクトの三大管理要素である「品質」。まずは計画段階において顧客が要求している品質目標を定め、場合によっては中間検査用の品質基準を明らかにします。品質の検査方法やタイミング、品質不合格となった場合の対応なども文書化する必要があります。
品質のマネジメントが実行プロセスに移る段階では、スケジュールやコストのマネジメントと異なり、客観性を保つために品質保証部門など第三者機関の協力を得ながら進行していきます。
成果物が必要とされている品質基準を満たすようコントロールすることはもちろんですが、品質のマネジメントでは予算やスケジュールが適切に管理できているかどうかなど業務の進め方自体の品質を適切に管理することが求められてきます。
情報分析やデータ解析にはパレート図・特性要因図・グラフ・ヒストグラム・散布図・管理図・チェックシートといったいわゆる「QC7つ道具」や親和図法・連関図法・系統図法・マトリックス図法・アローダイアグラム・PDPC法・マトリックスデータ解析法といった「新QC7つ道具」と呼ばれる手法が一般的です。プロジェクト計画書やベースラインに影響を与えるような問題がある場合は変更要求を行い、対策を行います。
これらについては品質管理の専門家にお任せするとして、ここからは品質マネジメントに関係する近似のキーワードを整理しながらご紹介していきます。
Design for XとQFD
多品種少量化が進む現代のものづくりにおいては、従来のように量産され始めた後の設計改善ではなく、品質マネジメントの計画の段階での品質設計・作り込みが大切です。
製品のライフサイクルは80%が設計で決まるとされ、開発設計段階で十分な検討を行うために活用されるのがDesign for Xです。Xの部分には使い勝手や安全性、機能展開などプロダクト開発におけるさまざまな側面が入り、設計における特定の側面を最適化することで品質の向上に貢献します。
一方でQFD(quality function deployment)とは品質機能展開と訳される顧客のニーズをものづくりに正しく反映させるための設計アプローチです。
例えばデジタルカメラの開発において「持ちやすい」「軽い」「綺麗に写真が撮れる」といった顧客ニーズと「形状」「重量」「画素数」といった商品特性をマトリクス化して整理します。開発がスタートする前からニーズに合った製品の仕様や品質特性の分析・検証を行うことで、後工程での手戻りを減らしてより良い品質保証体制をつくることが可能です。
実際にはQFDのアプローチを行なった結果、多数の要求品質と品質特性が入り混じって複雑となる場合が多く、さらなる分析やコストバランスの検討を行なって重要視する品質を絞り込む作業が必要となります。
品質は検査ではなく計画によって達成されると考えられています。商品設計・ものづくりだけでなく「業務品質」そのものを上げるためには、その計画が大事であることを忘れないでください。
次回はプロジェクト資源マネジメントについて。物的資源だけでなく、特に重要となる人的資源についてプロジェクト実行段階における考えたいポイントなどをご紹介していきます。
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