本コラムは転換期を迎える現代のビジネスパーソンのために「考える」をテーマにしたトピックを毎月お届けしています。
今シリーズ後半は「マネジメントと組織開発」をテーマにミドルマネジメント層が考えるべきポイントや手法をご紹介していきます。
前回は「リーダーシップとマネジメントの違いと役割」について。リーダーシップは人々を目的やビジョンに導くプロセスであり、マネジメントとは似ているようで異なるというお話でした。
今回はコントロールとマネジメントの違いについて。こちらも似ているようで大きく異なる役割を持っています。
同じ”管理”でも異なる職能
managementとcontrol…いずれも和訳すると「管理」と訳されますが、区別があいまいにはなっていませんか?
マネジメントは組織を運営し、成果を上げるための活動全般を示すのに対して、コントロールは組織の業績や活動が計画通りに進行しているかどうかを監視し、必要に応じて修正を加えることを指します。
例えば「プロジェクト管理」と表現された場合はどうでしょうか?
プロジェクトコントロールはスケジュールやリソースを観測しながら反復的に改善を行います。階層で言うとプロジェクトマネジメントの下位にあたりますが、適切なコントロールのためにはプロジェクトの計画段階から終了まで全体を通して遂行される機能携わることになる役割です。
一方でプロジェクトマネジメントは人材や成果物を含めた全体が順調に進むことに重点を置き、プロジェクトコントロールにおいて「何を正しいとするのか」を示す役割も持ちます。
プロジェクトマネジメントが適切かどうかでプロジェクトコントロールが正しい方向に向かうかどうかも左右すると言っても良いでしょう。
良いマネジメントのためには、内包されるコントロールが適切であることは欠かせません。しかし、必要以上にコントロールしようとはしないよう注意が必要です。
- 完璧主義
- こだわりが強い
- 部下に仕事を任せるのが不安
といった人は部下をコントロールしたがる傾向にあります。特にコントロールの持つ「統制」という側面をマネジメントと混合してしまうと、他律的な指示によってメンバーの自主性を損なってしまいかねません。
「部下が自分で考えて動いてくれない」という悩みは、実は自身が業務ではなく部下をコントロールしようとする指示を出している結果かもしれません。
人を育てるポイントは「手を離す」こと。人材育成の面でも過度なコントロールは妨げとなってしまいます。
マネジメントとは
それでは、改めてマネジメントとは何なのでしょうか?
ドラッカーは自書「明日を支配するもの」でマネジメントを “組織をして成果を上げさせるための道具、機能、機関” と定義しています。
また、自書「マネジメント」では ”マネジメントとは権力ではない、人を活かす責任である” としています。
良いマネジメントを行うためには、全体を俯瞰し製品やセクション単位でのコントロールを行いつつ、メンバーの自主性や創造性を尊重することが大切です。
フォーカスすべきは「業務」は当然として「人材」、そして「組織」です。ミドルマネージャーが組織について考えることについては、次回コラムからご紹介していきます。
マネジメントはさまざまな領域にまたがるがゆえに隣接する職能との区別があいまいになってしまうことがあります。
前回コラムの ”マネジメントとリーダーシップ” と、今回の “マネジメントとコントロール” 。いずれもプロジェクトを円滑に進めるための職能ですが、目的や役割が異なることをご紹介してきました。
次回も区別があいまいになりがちな「組織開発」についてご紹介しながら、組織開発とマネジメントとの違いや役割について整理していきます。
ピンバック:自律した組織を育てる組織開発とミドルマネジメントの役割 – シンキングパートナーズ合同会社