本コラムは転換期を迎える現代のビジネスパーソンのために「考える」をテーマにしたトピックを毎月お届けしています。
今シリーズはミドルマネジメント層における「リーダーシップとコミュニケーション」、後半は「マネジメントと組織開発」がテーマ。
今回はここまでのコラムを振り返りながら、改めてリーダーシップとマネジメントの違いについてご紹介していきます。
まずミドルマネジメント層がどういった思考で取り組むべきかを山本五十六の格言から紐解きました。
ここで、現代において特に重要視されているのが「心理的安全性」でした。心理的安全性は部下を甘やかすというものではなく、組織の創造性・生産性を高めます。
強権的に部下を従わせ成果を出すリーダーシップの時代は終わりました。明確なビジョンを示し、部下の主体性を引き出しながら目的達成へ導く…そんな「変革型リーダーシップ」についてポイントと事例をご紹介しました。
リーダーシップを発揮するには、円滑なコミュニケーションが欠かせません。部下とのコミュニケーションにおいては、まず「なぜ?」から始めることでパフォーマンスを引き出しましょう。
また双方向のコミュニケーションを心がけることによってモチベーション を向上、コーチングの手法を活かして自発性を引き出す手法についてもご紹介しました。
ミドルマネジメント層のコミュニケーションは部下に対するものだけではありません。組織を強くするためにはトップマネジメント層と積極的にコミュニケーションを行い、よりダイバーシティな思考が求められています。
リーダーシップとマネジメントの違い
ビジネスにおいて重要な役割を果たす、リーダーシップとマネジメント。皆さんはこの違いをどう捉えていますか?
リーダーシップは人々を目的やビジョンに導くプロセスです。部下の意欲を高め、エンパワーメントすることによって企業活動の成功に貢献します。
一方でマネジメントは、企業のリソースを最適化するために必要な手順や過程を管理するプロセスです。複雑な状況にうまく対処し、大きなプロジェクトや組織においても秩序をもって目標達成へ貢献します。
リーダーシップとマネジメントは似ているようで別物。また、どちらかが優れているとか、どちらかがどちらかの代わりになるというものではありません。
織物の経糸と緯糸のようにそれぞれがそれぞれを必要とし、両方の機能がうまく組み合わさることによって、組織は目標を達成し成功を収めることができるのです。
ホンダの創業者である本田宗一郎が財務経理のプロである藤沢武夫に経営を任せて技術の開発に集中したという話は有名ですが、「技術開発」と「会社経営」という分業だけでなく本田宗一郎がリーダーシップを発揮し、藤沢武夫がマネジメントを担当したとも言えます。どちらかが欠けていれば、今日のようなホンダの躍進はなかったことでしょう。
それぞれが異なる役割を持ちつつ、どちらも発揮することが重要であるリーダーシップとマネジメント。ミドルマネージャーにおいては兼任せざるを得ない状況がほとんどではあるでしょう。
ドラッカーはリーダーシップとマネジメントについて、以下のように述べています。
Management is doing things right; leadership is doing the right things.(マネジメントとは物事を正しく行うことであり、リーダーシップとは正しい事を行うことである)
日本企業は一般にコントロールすることについては卓越しているが、マネジメントの仕組みを真に確立しているとは言い難いのが現状です。
次回からは「マネジメントと組織開発」をテーマにミドルマネジメント層が考えるべきポイントや手法をご紹介していきます。ぜひこれまでのリーダーシップのコラムとも対比しながら読んでいただけると幸いです。
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