本コラムは転換期を迎える現代のビジネスパーソンのために「考える」をテーマにしたトピックを毎月お届けしています。
前回は部下とのコミュニケーションにおけるコーチングの視点からの考え方をご紹介しました。
今回はトップマネジメント層とのコミュニケーションについて。時に”板挟み”となりながらメンバーを率いるミドルマネジメント層へ向けたトピックをご紹介していきます。
ミドルマネジメントの役割と責任
組織のパフォーマンスを上げ、結果を出すためにはトップマネジメント層とのコミュニケーションが必要不可欠。
業務の管理、労働環境の管理、部署間の連携を行う重要なポジションであるミドルマネジメント層はトップマネジメント層の意図を理解して具体性をもって現場へ浸透させるのはもちろん、時には現場の意見をまとめて上長へ意見する役割も担います。
これによってトップマネジメント層へ適切な意思決定を促すことができ、また必要な場面で動いてもらったり上位のマネジメント層を巻き込んだ事業展開が可能となります。
それでは、トップマネジメント層とはどのようにコミュニケーションするべきなのでしょうか?
トップマネジメント層を相手としても部下に望むコミュニケーションと同じく報告・連絡・相談は基本です。
報告は事実を正確かつ簡潔に可視性を持って行い、連絡は随時・適切に積極的に行いましょう。相談をする際には方針との整合性を担保し、根拠や理由を明確に。
この時、注意しなくてはいけないのはトップマネジメント層との報・連・相は個人の責任ではなく組織としての責任として語る必要があることです。
組織の要であるミドルマネジメント層
ミドルマネジメント層は板挟みになり苦労の多い立場ではありますが、いち社員では動かせない領域まで巻き込んで変化をもたらすことのできるやりがいのあるポジションでもあります。
例えば いすゞ自動車株式会社はかつて、いわゆる「大企業病」に陥っているという問題を抱えていました。(出典リンク)自動車会社は機能別にセクションが分かれており、適切に連携をしないと、開発や改善がスムーズにいきません。
ここで活躍したのが各セクションの部長クラスの人材でした。部長同士が若手のアイデアを持ち合いながら連携し、実行に結び付ける。トップマネジメント層も巻き込みながら各人が豊富に持つ社歴や実務経験を事業イノベーションの場で発揮することができました。
ミドルマネジメント層がその役割と責任を果たすことは、組織全体を牽引する非常に重要な意味を持つのです。
しかし残念なことに中には保身に走って”今をしのげればいい”思考から上位マネジメント層と向き合おうとしない人も少なくありません。
「直近の目標だけ達成していればいいだろう」という思考では長期的にみて会社を後退させてしまうと言えるでしょう。
戦国時代、合戦の前には家臣一同を集めて行う作戦会議が行われていました。それぞれの領地を預かる家臣たちは上下関係を気にせず作戦に関する議論を行い、大将はすべてを聞いた上で大方針を決定していたそうです。
現代において求められているのは上下はもちろん横の繋がりも垣根をとりはらったダイバーシティな思考でのトップマネジメント層の巻き込み。常に生きるか死ぬかという局面で判断を迫られていた戦国時代とVUCAの現代は通じるものがあるのかもしれません。
次回は、これまでお伝えしてきた「リーダーシップとコミュニケーション」を振り返りながら、リーダーシップとマネジメントの違いについてご紹介していきます。