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【コラム3-6】部下の自発性を引き出すコミュニケーション手法

本コラムは転換期を迎える現代のビジネスパーソンのために「考える」をテーマにしたトピックを毎月お届けしています。

前回は部下のモチベーションを向上させるリーダーのあるべき姿についてご紹介しました。

【コラム3-5】部下のモチベーションを向上させるリーダーの姿とは

今回は引き続き部下とのコミュニケーションについて、特にコーチングの視点から考えていきます。

自発的な行動を促すコーチングの手法

ビジネスにおいては人材開発手法のひとつとして注目されているコーチング。特に重要なのは、コーチング手法が「相手の自発的な行動を促す」コミュニケーション技術だという点です。

上司が部下へ自分の知識やノウハウを伝えて「指示する」「命令する」というアプローチだけでは、ともすれば指示待ち人間を育ててしまいかねません。

コーチングは「答えを与える」のではなく「答えを自ら生み出す」サポートを行います。部下が自ら問題に気づき対処できるように導くことで、部下自身の成長を促すのはもちろん、会社全体の目標達成にも役立つと期待されています。

コーチングの3原則

「コーチ (Coach)」は「馬車」の意味。馬車は人々を現在地から目的地へ届けることから、「人の目標達成を支援する」コーチングという言葉が生まれました。

今ではコーチングを専門とする職業もありますが、コーチングの考え方や基本的なスキルはリーダーであれば誰しも持っていてほしいものです。

ここではコーチングの基本的な3原則をご紹介します。

インタラクティブ

前回のコラムでも触れたように、「指示するだけ」といった一方方向ではなく部下の意見を引き出したりアイディアへ耳を傾けるといった双方向のコミュニケーションが必要です。

テーラーメイド

かつて部下の教育といえば集団研修が主流でしたが、現代においては多様な考え方や価値観に合わないことも増えてきました。コーチングは基本的に1対1で行い、一人ひとりの状況や性格に合わせて対話を行います。

オンゴーイング

自発的な行動のできる人材を育てるには時間がかかります。1回もしくは数回の対話をやりっぱなしにしてしまうのではなく、継続的に続けることが重要です。

コーチング手法を用いた部下の内省支援

ヤフー株式会社は2012年、経営陣が刷新したことを機にさまざまな組織改革を行いました。その中でコーチングについては管理職に必須の研修として実施され、部下の内省を支援するために週に1回30分の1on1ミーティングが行われるようになりました。

具体的には、まずテーマやゴールを決めた上で直近1、2週間の出来事から良かった点、感じたことや、悩んでいること、困っていることをヒアリング。部下の経験から得られたことをもとに今後の計画や次のアクション、必要なサポートについて話し合います。

週ごとの1on1ミーティングではあえて業務の進捗や目標の達成についての確認はあまり行いません。

半期に1度など特定の時期には目標の達成度を確認しつつ、部下の中長期的キャリアや会社の戦略についても対話を行い、会社のビジョンやミッションと個人のキャリアとのすり合わせを行います。

毎回ミーティングの最後には「今日も話してくれてありがとう、引き続きよろしくね」という感謝と労いを伝えるそうです。 始めた当初はそんなセリフはわざとらしいと感じる人もいたそうですが、部下との信頼関係を築くための基本姿勢として、しっかり行うよう指導しているのだとか。

部下や会社と一緒に自分を高める

コーチングは先に触れた通り部下の成長をもたらし会社の目標達成にも繋がる手法であると同時に、それを通して自分自身の成長や目標達成にも効果をもたらします。一朝一夕にできるものではありませんが取り組む価値は必ずあると言ってよいでしょう。

新年は気持ちを新たに個人の目標を立てたり昨年の反省を感じる時期ですから、ヤフーのように社内制度で1on1を設けていない場合でも日常のコミュニケーションの中でコーチング手法を取り入れてみるのはいかがでしょうか。

部下とのコミュニケーションが重要な一方で、トップマネジメント層とも適切なコミュニケーションをとらねばならないのがミドルマネジメント層。

次回は時に”板挟み”となりながらメンバーを率いるミドルマネジメント層が行うコミュニケーションについて引き続きご紹介していきます。