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【コラム3-3】ビジョンを明確にして目的達成へ導く、新しいミドルマネジメント層のリーダーシップ

本コラムは転換期を迎える現代のビジネスパーソンのために「考える」をテーマにしたトピックを毎月お届けしています。

前回は現代の若手社員を育成し、主体的な行動を促すために重要視されている「心理的安全性」についてご紹介しました。

【コラム3-2】これからのマネジメントに必須の「心理的安全性」とは

今回はビジョンを明確にして目的達成へ導くミドルマネジメント層のリーダーシップについて。これからの時代では高圧的に目標を達成させるというような姿勢ではなく、心理的安全性を保証したリーダーシップが求められています。ぜひ前回コラムも参照しながらお読みください。

多様かつ不確実性の高い時代に求められる変革型リーダーシップ

リーダーシップ理論の歴史は古く、これまで時代ごとにさまざまなリーダーのあるべき姿が議論されてきました。不確実性の高い現代においては、”組織に変革を導くような” リーダーシップが重要であると言われています。

これは変革型リーダーシップと呼ばれ、次のようなポイントがあります。

ビジョンと意味付け

まず第一に大切なのはビジョンを明確に示すこと。また社会や自社の状況や変化をしっかり把握し変化への意味づけを行うことが重要です。向かうべき目的地を部下へ示し、変化する必要性を納得させながらチームへ行動を促します。

チャレンジの推奨と成し遂げる力

変革をもたらすには新しいことへの挑戦が欠かせません。一方でビジョンの実現へ向けて成果を出さなければなりませんから、チャレンジを奨励しリスクを引き受けつつ目的達成へ邁進する力が必要です。

部下のケアとエンパワーメント

前時代的なリーダーシップと大きく異なるのは、部下の主体性を重んじる点と言えるでしょう。日頃からコミュニケーションを絶やさず、変革の中で生まれる心的な変化も捉えながら導きます。

目的を与えるリーダーであれ

強権的に部下を従わせ成果を出すリーダーシップの時代は終わりました。明確なビジョンを示し、部下の主体性を引き出しながら目的達成へ導く…そんな組織と人に変革をもたらすリーダーシップが求められています。

危機的な状況から変革によって復活した「無印良品」

もともと西友のプライベートブランドとして1980年にスタートした「無印良品」。ブランドは順調に成長し1989年には西友から独立して株式会社良品計画を設立、ここからの10年間は順風満帆と言える成長を続けていました。

しかし2000年に初の減益、経営改革に迫られます。

設立当初は “わけあって安い” だった商品コンセプトを “WORLD MUJI” “FOUND MUJI” に刷新。商品開発や販売の方法を一新し、組織の改変に乗り出しました。

この変革の中で当時の社長である松井忠三氏は、低迷の原因が商品力の低下と不良在庫にあると判断しました。そこで焼却処分場へ社員を集め、なんと目の前で不良在庫を燃やしたというのです。

松井氏自身も後に「つらい経験だった」と語る出来事ですが、社員達が目の前で燃える在庫を見ながら変革への必要性を強烈に実感したであろうことは想像に難くありません。

その後も松井氏は変革型リーダーシップを発揮し業績をV字回復。株式会社良品計画の会長職となった今も、講演などで「リーダーが方向性を決めることの重要性、それによって部下が上からの命令を待つのではなく自発的に動くようになること」を語っています。

組織を変革するリーダーは、自分自身もまた変化を恐れないことが必要です。ここで言う「変化」とは、組織内の立ち位置が変わって「人が変わる」ことではなく、組織・個人の目標・目的に対する意識や方法を変えることです。

今ある自分を見つめ直しながら周囲の人々へも変化を促し、組織を変えていきましょう。

次回からのコラムではメンバーの主体性を引き出し、モチベーションを高めるために求められるリーダーシップやコミュニケーション手法についてご紹介していきます。