本コラムは転換期を迎える現代のビジネスパーソンのために「考える」をテーマにしたトピックを毎月お届けしています。
ここまでは「ロジックツリー」について、前回はその中でもKPIツリーについてご紹介しました。
今回はロジックツリーではありませんが、似たようなツリー状に根拠と主張を整理して説明しやすくするピラミッドストラクチャーの手法についてご紹介していきます。
ピラミッドストラクチャーとは?
その名の通り、ピラミッド構造で思考を整理するピラミッドストラクチャー。最上段には結論(最も伝えたいメッセージ)、その下には結論の根拠となる考え、さらにその根拠を説明する事実やデータをまとめて最上段の主張を支えるという構造になっています。
ピラミッド状に積み上げられたツリーの階層は、上段が主張、下段が根拠の関係でつながっています。主張と根拠、データが「何がいえるのか?(so what)」「なぜそう言えるのか?(why so)」の関係でつながっているか、無関係なところはないか、論理の飛躍はないかなどをチェックしやすくなります。
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ロジックツリー との違い
ピラミッドストラクチャーはロジックツリーと見た目が似ていますが、使用目的が異なります。ロジックツリーが物事の要素や原因をブレイクダウンしながら整理する「分析・検討」に用いられるのに対し、ピラミッドストラクチャーは主張に対する根拠を構造化して整理する「説明・説得」に用いられる手法です。
論点の明確化が構造化の第一歩
ピラミッドストラクチャーによる構造化を実践する前に、まず「論点は何か?」を考えることを忘れないでください。ピラミッドの最上部にあるメッセージは、論点に対する答えです。その後がどんなに正しい論理展開だったとしても、そもそもの論点がズレていては意味がありません。
思考を深め、説明しやすくする
ピラミッドストラクチャーは目的や論点を整理し「相手に何を理解して欲しいのか?」「どのようなストーリー・資料で伝えるか?」を明確にするツールです。プレゼンや資料作成はもちろん、報告やメールの連絡といった日常的なビジネスシーンでも役立ちます。
例えば、ピラミッドストラクチャーで整理した情報をもとに上司へ自分の主張を説明してみるとしましょう。
まず最初に述べるのはピラミッドのトップにある結論。例えば「自社はA事業に参入すべきである」という主張をしたい場合は、この結論から述べることで日本人はついやってしまいがちな”物事の背景や理由からダラダラと説明してしまう”ことを防げます。
次に結論の根拠をひとつ示し、それを説明するための事実やデータを述べます。次に2つ目の根拠を示し、さらにそれを説明するための…というように構造化されたグループごとに説明を行いましょう。
最後にもう一度結論を述べてまとめましょう。聞き手にとっては、あらかじめ結論を聞いた上で体系的に根拠を述べられることにより理解がスムーズになります。
ピラミッドストラクチャーは相手にわかりやすいというだけでなく、構造化しながら「so what? why so?」を繰り返すことで、より考えを整理し深められるのもメリットと言えるでしょう。
実際のビジネスシーンでは判断や主張するにあたり、より複雑で不確かな状態から着手しなくてはなりません。次回からは重要となる仮説思考について、分析の技術や仮説検証サイクルと併せて解説していきます。
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