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【コラム2-8】改善策の決定に導く問題解決howツリー

本コラムは転換期を迎える現代のビジネスパーソンのために「考える」をテーマにしたトピックを毎月お届けしています。

ここまでロジックツリーのwhatツリーとwhyツリーをご紹介してきましたが、今回はいよいよ「それでは、どう対応するのか?」と問題解決へ導くhowツリーについて。具体例を交えながらご紹介していきます。

whatツリーについてはこちらから

【コラム2-6】問題解決へ一歩踏み出す要素分析 whatツリー

whyツリーについてはこちらから

【コラム2-7】根本原因を見つけ出す原因分析 whyツリー

前回までの例で言うと、「売上」を構成する要素をwhatツリーでMECEに分類しwhyツリーによって各要素の原因を構造的に整理しました。

この際、特に「購入単価」と「新規顧客からの売上低迷」に問題があるとして、それぞれ「どう対応するか」を考えたとしましょう。それぞれの原因に対する具体的な対応策をツリー状に整理します。

  • 顧客単価を上げるにはどうするか?
    • 商品単価を上げる
    • 上位商品を提案する
    • 関連商品を提案する

  • 新規顧客を増やすにはどうするか?
    • 商談数を増やすにはどうするか?
      • リード獲得
    • 成約率を上げるにはどうするか?
      • 営業部の人材教育
      • 営業プロセスの構築

出すだけであれば、さらに多くの施策を出すことが可能でしょう。しかし、すべてを実行できるとは限りません。howツリーで出てきた施策を実行するにあたり、優先順位はどのように考えれば良いのでしょうか?

どんな順番で対応するべきか?

ロジックツリーは網羅的に作成するがゆえに、実現性の低い内容も出てきてしまうというデメリットがあります。

対応策の優先順位を考える際、理論上優先すべきものは「より影響の大きいもの」ですが、実務上はリソース上の制約や費用対効果を考えて優先順位を考えなければなりません。

図の例で言うと、仮に「商品単価を上げる」ことが最も影響が大きいとわかっていたとしても、これは簡単なことではありません。総合的に考え「上位商品を提案する」「関連商品を提案する」対応を優先するという判断もあるでしょう。

ここで、優先順位を考える上で大切なのは「スピード感」です。すぐにできることをまずやって成果を出す、これが「クイックヒット(クイックウィン)」と呼ばれる手法です。

小さな施策の積み重ねで組織を変革する

短期的かつ比較的やりやすい施策を実行し、成果を上げるのが「クイックヒット(クイックウィン)」です。これによって、プロジェクトの内外で以下のようなメリットが期待できます。

推進力を高める

例えば始める前は面倒に思う運動も、やり始めるとスイッチが入ってやる気になることがありますよね。たとえ小さな成果でも、成功体験はメンバーのモチベーションを高め、次なる施策への推進力となるでしょう。

協力体制を育む

短期的でも成果を上げることは、関わるメンバーだけでなく周囲の人々にも影響を与えます。早い段階から社内のステークホルダーに成果を見せることで協力体制を築き上げることができるでしょう。

もちろん、これらは目先の実績に囚われるのではなく長期的・根本的改善を見据えたアプローチであることを忘れないでください。スモールサクセスをスピーディーかつ継続的に積み上げることが改革の成否を握るといっても過言ではありません。

howツリーの作成と優先順位の決定により、やるべき施策が明確となりました。

次回は目標達成に必要なプロセスを具体化するための指標であるKPIをツリー状に整理し、活用する手法を引き続き具体例とともにご紹介します。