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【コラム2-7】根本原因を見つけ出す原因分析 whyツリー

本コラムは転換期を迎える現代のビジネスパーソンのために「考える」をテーマにしたトピックを毎月お届けしています。

前回はロジックツリーの中でも要素分析を行うwhatツリーについてご紹介しました。

【コラム2-6】問題解決へ一歩踏み出す要素分析 whatツリー

続いて、今回は原因分析に使用するwhyツリーについて。これは原因を追求するためのロジックツリーの一種でした。

問題を漠然としたままにさせないために

Whatツリー作成が階層を重ねるごとに構成要素を細分化する作業だったのに対し、Whyツリーは「なぜ?」の問いを繰り返してツリー状に情報を整理して真因を追求していきます。他のロジックツリーと同様に、分析の目的を明確にしMECEを意識することも重要です。

例えば、ある製品の売上減少が問題であれば次のようにWhyツリーを作成できます。ここで、事前にWhatツリーで売り上げを構成する要素が整理されているとWhyツリーの作成も容易になるでしょう。「売上が減少するということは、つまりどういうことか?= 平均顧客単価か顧客数が減少している」それはなぜか?というように、原因を因数分解していきます。

Whyツリーで原因を分解しきった時、その最下層にあるのが「根本原因」です。上のような売上減少の原因を考える場合、商品ごとにwhyツリーをつくることでそれぞれの原因がどこにあるのかを一見でき、全体像を把握するのにも活用できます。

whatツリーとの違い

whatツリーはMECEでしっかりと分解できていれば右の要素を合計すると左の要素と同義となる包括関係にあります。whyツリーは右の要素が原因となり、左の結果がもたらされる因果関係です。

MECEであることが大事なのは先ほど述べましたが、MECEにこだわるあまり「原因のないところに原因をつくる」必要はありません。whatツリーのように構成要素を完全なMECEで表すのではなく、結果と原因(対策ができるレベルの原因)に関わる内容で構成するのがwhyツリーです。

whyツリー作成の注意点

せっかく掘り下げたはずの根本原因が先入観に左右されていたり因果関係に乏しくては意味がありません。「掘り下げた原因が思い込みによるものでないか?」「因果関係が間違っていないか?」にも注意するようにしましょう。

例えば「新入社員がトラブルを報告するのが遅い」といった問題に対してwhyツリーを掘り下げていく場合、「気合が足りない」といった根拠に乏しい内容を挙げるのは適切ではありません。思いつく限りの原因を出していくのは大切ですが、根拠ある内容かをしっかり確認しましょう。

またロジックツリーでは階層ごとに要素の粒度をそろえなければ上手く構造化することができません。もしも具体的過ぎる原因(より下層に配置すべき要素)が思い当たった場合は、「so what?(だからなに?)」の考え方で上層にあたる要素を考えてみましょう。

先入観や思い込みの原因となる認知バイアス、so whatとwhy soについては過去のコラムもご参照ください。

【コラム2-3】クリティカル・シンキングで本質を見極める思考を手に入れよう

根本原因が洗い出されたら、より影響力の強いものが改善の優先順位が高いということです。全体像が見えることでメンバー同士でも状況を共有しやすく、議論しやすくなるのもメリットのひとつと言えるでしょう。

Whyツリーによって根本原因を追求した後は、いよいよ解決策を検討していくステップです。そのために使われるのがHowツリー。次回はHowツリーについて事例とともにご紹介していきます。