本コラムは転換期を迎える現代のビジネスパーソンのために「考える」をテーマにしたトピックを毎月お届けしています。
前回はクリティカルシンキングのための問い続ける姿勢についてご紹介しました。
今回はロジカルシンキングにおける基本的な概念であり、ロジックツリーはじめ様々なフレームワーク活用において重要なMECEについてご紹介していきます。
MECE(ミーシー)とは?
「Mutually(相互に) Exclusive(重複せず) and Collectively(全体に) Exhaustive(漏れなく)」の頭文字を取って略した言葉がMECEで、日本語では、「漏れなく、ダブりもない」と表現されます。
漏れやダブりを認識するためには、まず「全体集合」が理解できていることが重要です。MECEとは、ある事柄を全体集合(網羅性・完全性における全体)と考え、課題解決のための切り口と視点によって、漏れもダブりもなく部分集合へ分けることをいいます。
言い換えれば、MECEは、全体集合がどのような性質の部分集合で構成されているかを確認する技術とも捉えられます。
課題解決のための切り口と視点をよく理解し、その視点から漏れているもの、重複しているものはないかをチェックしていくことにより、「漏れなく、ダブりもない」MECEな状態へとなっていくのです。
漏れなく、ダブりなくとは?
漏れなくダブりなく分けるとは一体どういうことでしょうか?
例えば、採用のシーンで全体集合を「高卒以上の人材」とします。これを「高卒」「大卒」に分けた場合、これでは「専門学校卒」や「大学院卒」が漏れてMECEであるとは言えません。
次に、「新卒採用」「第二新卒採用」「中途採用」と分けた場合です。この分け方では、中途採用に第二新卒採用が含まれるためダブりがある状態になってしまい、MECEの分け方とは言えません。
この場合、「新卒採用」と「中途採用(第二新卒を含む)」で分けることでダブりは無くなりますが、「ポテンシャル採用(新卒・第二新卒)」「キャリア採用(中途)」というように目的に応じて分けた方がより効果的なケースもあります。
MECEに考えていくための2つのアプローチ
MECEに物事を考えていくにために、2つのアプローチ手法が使われます。
・トップダウンアプローチ
先ほどの例のように全体集合や分類の仕方が明白である場合、ゴールを意識し分類を進めることができます。しかし実際の現場では、最初は分類がハッキリとはわからず大きなくくりから要素を整理しながらブレークダウンしていく方法が主流です。
全体集合を確認したら、次に課題等から目的となるMECEの観点から切り口を決定し、MECEの切り口で情報を全て挙げながらまとめていきます。トップダウンアプローチには物事を体系的・俯瞰的にとらえることができるというメリットがあります。
・ボトムアップアプローチ
「全体集合」がわからない、どういった切り口で分類をしていいのかわからない場合のアプローチ方法です。まず思いつく要素や役立ちそうな情報を列挙し、そこからグループ化して分類の仕方を決め、全体集合を明らかにします。実際にブレストの整理で体験したことのある方も多いのではないでしょうか。
ボトムアップアプローチは要素の洗い出しが不十分だと分類にもモレが生じやすく、また分類の仕方を間違うと重複もありうるなどデメリットがあるため、全体集合が把握できたらトップダウンアプローチに切り替えて修正を加えながら進めることが有効です。
MECEに考えられるようになるには、地道に数をこなすことが必要です。
・「帰納法で下階層を考える」(ミクロ化)と「演繹法で上階層を考える」(マクロ化)
・要素を抽出する、まとめる
・仮説を立てる
こういた訓練を日常の業務の中で訓練するとよいでしょう。
※演繹法/帰納法コラムへのリンク
MECEは様々なフレームワーク活用において前提となる考え方です。次回からはMECEを使った代表的な思考ツールである「ロジックツリー」をご紹介します。
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