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【コラム2-2】演繹法・帰納法 論理的に答えを導く2つの手法

本コラムは転換期を迎える現代のビジネスパーソンのために「考える」をテーマにしたトピックを毎月お届けしています。

前回は若手人材がロジカルシンキングとクリティカルシンキングを身に着ける必要性についてご紹介しました。

【コラム2-1】ロジカル・クリティカルに考えることから始めよう

 

改めてロジカルシンキング(logical thinking)すなわち「論理的思考法」とは、考える目的を明確にして内容を結論と根拠を整理し、そのつながりをきちんと説明できる状態を言います。

原因と結果、結論と根拠(要素)等の因果関係を大切にし、問題に対する原因特定や解決策の立案に効果的な思考プロセスです。今回は論理展開の基本である「演繹法」「帰納法」についてご紹介します。

演繹法とは? 論理展開の手順と事例

演繹法は一般論(因果関係、基準、価値観など普遍的な大前提となるもの)と観察事項を整理し、必然的な結論を導き出す思考法・数学的な推論方法です。

・鉄は水分に触れると錆になる(大前提となるもの)

・この鉄製パーツは大気と湿気にさらされている(観察事項)

・この鉄製パーツは錆びてしまう(結論)

このように、A=B、B=Cのとき、A=Cであるという三段論法とも呼ばれます。

 

また、例えば季節の販売促進キャンペーン広告予算を考える時に

・これまでのデータからWEB広告出稿のクリック単価は100円、購入率は5%である(大前提)

・新商品は価格が20,000円で月間の売上目標が50個/100万円である(観察事項)

とすると、「月あたりの広告出稿は1000クリック/10万円必要」という結論が導き出せます。

 

帰納法とは? 論理展開の手順と事例

一方で、帰納法はそもそもの大前提が不明であったり、因果関係を見つけること自体が目的の時に使われる思考法です。観察されるいくつかの事象の共通点に注目して、自然な結論を導き出します。必然的な答えを導き出す演繹法とは異なり、クリエイティブな思考が求められるのが特徴です。

 

例えば新商品の開発・販売時にクラウドファンディングを活用した企業からアンケートを取ったとき、次のような回答があったとしましょう。

・購入者の年齢や消費傾向が把握できた

・多機能よりコンパクトな製品に人気があることがわかった

・取材を受けることでHPへのアクセスが上がった

・取引先との交渉がスムーズになるようになった

・従業員のモチベーションが上がった

 

ここから「クラウドファンディングはテストマーケティングに有効である」「クラウドファンディングは資金調達以外にも効果がある」といった答えが推察できます。複数の結論を導き出すことができるのも帰納法の特徴です。

ロジカルシンキングのデメリット

ロジカルシンキングを用いて物事を筋道立てて端的に説明することで、聞き手にわかりやすく伝えることもできるようになります。交渉や提案はもちろん説明や指導をする際にも有効であり、あらゆるビジネスシーンにおいて重要なスキルです。

一方で、「論理的に整合性が取れていれば、情報の正確さや前提条件の是非、思考の偏りまでは検証しにくい」のがロジカルシンキングのデメリットです。

例えば、論理構築の土台となっている情報自体に不正確さを含んでしまっている場合です。元の情報が不正確であるのに、それを土台としロジカルシンキングにより導かれた結論は、はたして正しいといえるのか?

そこで、「クリティカルシンキング」を併せて用いることにより、ロジカルシンキングのデメリットを補うことができるのです。次回はロジカルシンキングだけでなく、クリティカルシンキングに有効な問いかけの思考法についてご紹介します。