新しい年がはじまりました。皆さんは2021年、ご自身のビジネスにおいて何をどう達成したいでしょうか。
本コラムは転換期を迎える現代のビジネスパーソンのために「考える」をテーマにしたトピックを毎月お届けしています。
前回はイノベーティブな発想を行うためのプロセスを体系化したTRIZについてご紹介しました。
今回から複数回に分けてご紹介するのは、目標達成のための「自律化」について。
組織・個人の目標達成に向けては、実行する個人のスキルが重要なだけではなく、行動にあたってのモチベーションをベースとした “自律的” 行動も必要不可です。組織のマネジメントは生産性向上のために、配下メンバーの自律的行動を促す必要があります。
そもそも自律とは?自律的行動のために必要なこと
不確実性の高い社会においては、よりいっそう個人が自律的に判断して行動することが必要です。そもそも自律とは、自ら取り組むべき問題を発見して判断、行動すること。また、自律的行動では求める成果が得られるよう “やり遂げる” ことも含まれます。
最初からメンバー全員が自律的行動できるのであれば、誰も苦労はしません。程度の問題はあれど、どの組織でも自律化に問題を抱えていることでしょう。自律して行動するために個人・組織が考えたいポイントを心理学の観点からご紹介していきます。
行動における2つの意図
心理学者ピーター・ゴルヴィツァーによると、ある目標や目的に向けて人が行動を起こすときには「実行意図(implementation intention)」と「目標意図(goal intention)」の2つの意図が作用するとしています。
実行意図とは、目標の実現へ向けて「いつ」「どこで」「どのように」するのかを明らかにすること。漠然とした目標を掲げるだけでなく、行動を具体的にすることで達成の確率が高くなるという研究結果が出ています。
ただしその一方で、実行意図は目的を見失うと単なる行動ルールとなってしまいます。また本人の意志ではなく外部からの圧力などでも同様の行動をすることもできてしまいます。これでは自律的行動とは言えません。
そこで重要になってくるのが、もう一つの「目標意図」です。これは、そもそも自分が実現したいのは何か?を明らかにします。最も大切なのは、自分自身で決めるということ。組織的な強制力、他人に設定された目標はモチベーションが低くなってしまいます。
例えば「2021年は健康的に一度も病気をせずに生活しよう」というのは目標意図で、「毎朝、出勤前に自宅周辺を30分ウォーキングする」「夕食の際は、自宅でも外出先でもサラダをまず食べる」というのは実行意図です。
ある実験では、目標がない状態に比べて目標意図のみと目標意図+実行意図がある状態ではパフォーマンス向上に大きな差のあることがわかりました。
しかし、どんなに素晴らしい目標意図があっても実行意図がなく漠然としていては良い成果を望めません。
◯◯したら、◯◯する
実行意図をより具体化し、パフォーマンスを向上させるための方法として高い効果があると言われているのが「If-thenプラニンング」です。
これは「◯◯したら、◯◯する」と“あらかじめ” 決めておき、そのように行動する条件をつけることで目的達成のための行動を習慣化するものです。
If-thenプランニンングのコツは以下の通り。
- 具体的に
- 時間と場所を指定
- 障害を想定しておく
先ほどの例だと、「雨が降ったら家の中で30分の筋トレに切り替える」というようにあらかじめ想定される障害を考慮してプランニングします。
次回は目標意図や実行意図を組織マネジメントに活用する際に考えるポイントをご紹介していきます。
ピンバック:【コラム(8)】目標達成のために、自律化を進めよう【後編】 – シンキングパートナーズ合同会社