本コラムは転換期を迎える現代のビジネスパーソンのために「考える」をテーマにしたトピックを毎月お届けしています。
前回は「全く何も無いものを創造する思考」についてお伝えしました。
「VUCA(※)」の時代と称される現代において、いかに創造思考が必要か。しかし、頭ではいくらわかっていても実践するのは難しいもの。イノベーティブな思考であればなおさらです。
今回は「+1」した「誰も知らない」領域を考えること、イノベーションを生み出す「世界にまだ何も無いものを創造する思考」の例としてTRIZ(トゥリーズ)という、膨大な特許分析から生まれた理論における代表的な発想支援ツールをご紹介します。
※「Volatility(激動)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(不透明性)」の総称
TRIZとは?
「発明的な問題解決の理論」を意味するロシア語の単語「 Teoriya(理論) Resheniya(解決) Izobretatelskikh(発明的) Zadatch(問題)」の頭文字がその由来です。
革新的な特許の数々から共通項を分析して完成した理論である、TRIZ。イノベーティブな発送を行うためのプロセスが体系化されています。
矛盾問題を克服する、発想の切り口を見つけよう
問題には、ある特性を改善すると、別の特性が悪化する」という矛盾(背反)を抱えていることが多くあります。
一方で、イノベーティブな特許技術の多くは、この背反特性を新しい発想によって解決しています。
TRIZが行った膨大な特許事例の分析結果によると、いかなる業種や技術分野においても矛盾問題を克服する共通の “発想の切り口” が見つかりました。それが「40の発明原理」で、新たな発想を生み出す切り口として活用されています。
- Segmentation (分けよ)
- Taking out (離せ)
- Local quality (一部を変えよ)
- Asymmetry (バランスを崩させよ)
- Merging (2つを併せよ)
- Universality (ほかにも使えるようにせよ)
- “Nested Doll” (内部に入り込ませよ)
- Anti-Weight (バランスを作り出せ)
- Preliminary Anti-Action (反動を先につけよ)
- Preliminary Action (予測し仕掛けておけ)
- Beforehand Cushioning (重要なところに保護を施せ)
- Equipotentiality (同じ高さを利用せよ)
- ‘The Other Way Round’ (逆にせよ)
- Spheroidality – Curvature (回転の動きを作り出せ)
- Dynamics (環境に合わせて変えられるようにせよ)
- Partial or Excessive Actions (大ざっぱに解決せよ、一部だけ解決せよ)
- Another Dimension (活用している方向の垂直方向を利用せよ)
- Mechanical vibration (振動を加えよ)
- Periodic Action (繰り返しを取り入れよ)
- Continuity of Useful Action (よい状況を続けさせよ)
- Skipping (短時間で終えよ)
- “Blessing in Disguise” or “Turn Lemons into Lemonade” (よくない状況から何かを引き出し利用せよ)
- Feedback (状況を入り口に知らしめよ)
- ‘Intermediary’ (接するところに強いものを使え)
- Self-service (自ら行うように仕向けよ)
- Copying (同じものを作れ)
- Cheap Short-Living Objects (すぐダメになるものを大量に使え)
- Mechanics Substitution (触らずに動かせ)
- Pneumatics and Hydraulics (水と空気の圧を利用せよ)
- Flexible Shells and Thin Films (望む形にできる強い覆いを使え)
- Porous Materials (吸いつく素材を加えよ)
- Color Changes (色を変えよ)
- Homogeneity (質を合わせよ)
- Discarding and Recovering (出なくさせるか、出たものを戻させよ)
- Parameter Changes (温度や柔軟性を変えよ)
- Phase Transitions (固体を気体・液体に変えよ)
- Thermal Expansion (熱で膨らませよ)
- Strong Oxidants (「そこを満たしているもの」のずっと濃いものを使え)
- Inert Atmosphere (反応の起きにくいものでそこを満たせ)
- Composite Structures (組み合わせたものを使え)
矛盾を抱えた問題を、これら40の項目と照らし合わせながらアイディアを考えていきます。
次回からのコラムは、自ら”考え”行動する「自律」について。人が自律的に動くには、組織のパフォーマンスを増大させるにはどうしたらいいのかをご紹介してきます。
皆さんにとって2020年はいかがだったでしょうか?
あるべき姿に向けた、実行可能な計画・施策を立案することができていますか?
実現可能な計画が絵に描いた餅になっていませんか?
計画された成果が得られていますか?
シンキングパートナーズでは、これら「考え」「実行」「結果」が確実に実施できる様にご支援いたします。
どうぞ良いお年をお過ごしください。
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